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アイテム
角層の性状解析のための蛍光標識ポリマーを用いた新規染色法に関する研究
https://doi.org/10.14993/0002000350
https://doi.org/10.14993/00020003509ee590cb-089d-4deb-b1ba-a108dc1a2e0b
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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本文 (3.5 MB)
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内容の要旨 (3.8 MB)
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審査結果の要旨 (151 KB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2024-07-19 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 角層の性状解析のための蛍光標識ポリマーを用いた新規染色法に関する研究 | |||||
言語 | ja | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Studies on novel staining methods using fluorescent polymers for characterization of the stratum corneum. | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_db06 | |||||
資源タイプ | doctoral thesis | |||||
ID登録 | ||||||
ID登録 | 10.14993/0002000350 | |||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | open access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_abf2 | |||||
著者 |
吉田, 萌生
× 吉田, 萌生 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 皮膚は表皮・真皮・皮下組織の 3 層構造からなる。なかでも表皮は皮膚にとって重要な 2 つの機能を持つことが知られている。特に表皮最外層に位置する角層は角層自身が水分を保ち柔らかさを確保する保湿機能と、体内の水分保持、異物排除および経皮吸収の制御を行うバリア機能を担う [1] 。角層は表皮角化細胞の分化により形成される角層細胞が10~20 層ほど重なり、厚さ 10~15 µmの角層を形成する。表皮は形態の異なる 4 層、すなわち、基底層・有棘層・顆粒層・角層から構成される。表皮の 90% 以上を表皮角化細胞が占め、基底層で増殖した表皮角化細胞が、有棘層、顆粒層に移動しつつ分化する。顆粒層から角層に移行する過程で、核、細胞内小器官、細胞膜などが消化され、細胞生物学的には死んだ角層細胞となる。角層では遺伝子発現は行われないため、顆粒層までの分化の過程で角層機能に必要なタンパク質や酵素を作り、最終的には最外層の角層は垢となって剥がれる。このように角層はターンオーバーを繰り返しながら恒常性を維持する動的な組織である。また加齢に伴い、角層の剥離酵素活性が低下すること[2]、角層の状態によっては重層剥離を起こすことも報告されている[3]。角層は角層細胞と細胞間脂質から構成される。角層細胞は主にケラチン線維および天然保湿因子 (NMF: Natural Moisturizing Factor)から構成から構成され、Cornified Envelope (CE)と呼ばれる膜状の構造を持つ[1]。このCEはロリクリンやインボルクリンといったタンパク質が多数存在し、脂質が付加されていることも知られている。また角層細胞の間隙は細胞間脂質であるセラミド・コレステロール・遊離脂肪酸で充填されている[4]。このように角層細胞や細胞間脂質の形成状態によって、皮膚の健常性に大きく影響する角層の特性は異なってくることが知られている[5, 6]。これら角層の特性は電気的手法、光学的手法、テープストリッピング法によって採取した角層を用いた手法により非侵襲的に評価することができる[7-9]。特に角層を採取し顕微鏡で観察するテープストリッピング法は化粧品・美容業界で個人に合ったスキンケアの提案を目的とし、様々な角層の性状解析方法を利用してカウンセリングに応用されてきた[10-14]。しかし、これまでに角層水分量や経表皮水分蒸散量[transepidermal water loss (TEWL)] のような皮膚生理指標となる角層染色法は見出されてはいなかった。そこで本研究では化粧品業界での角層性状の新しい評価法への応用および、個人に合ったスキンケア化粧品を選んでもらう一助となることを目的とし、ε-poly L-lysine (PLL) に着目して研究を行った。PLLはL-lysine残基から成り、分子量約4,000の直鎖状のポリマーである。このカチオン性の性質をもつPLLを利用し、蛍光標識PLLを用いて角層を染色した。これらPLLの角層への染色性のメカニズムを解明するため、pH依存性、塩濃度の影響の検討、共焦点顕微鏡での観察や皮膚生理指標との相関性など検討を行った。さらに蛍光標識PLLと同等の分子量 (3,000) でカチオン性と反対の性質であるアニオン性の蛍光標識anionic Dextran (aDex) を用いた角層の染色性を比較した。aDexは市販の蛍光試薬であり、Alexa Fluor 488がDextranに結合している電荷がアニオン性に傾いている試薬である。検討の結果、蛍光標識PLLは角層を染色すること、そしてその染色性はイオン結合性が関与していることが示唆され、その一部には疎水性相互作用も関与しているのではないかと考えられた。また、共焦点顕微鏡での観察結果より、角層細胞内部まで染色されていることからケラチンまで染色されていることが明らかとなった。皮膚生理指標の相関性の結果では、蛍光標識PLLで強く染色される角層細胞は角層水分量と負の相関、TEWLと正の相関を持つことが明らかとなった。さらに興味深いことに蛍光標識PLLおよび蛍光標識aDexとの二重染色では、被験者によって染色性が変わり、角層細胞の染色の有無を観察すると①両ポリマーで染色される角層細胞、②PLLのみで染色される角層細胞、③aDexのみで染色のみで染色される角層細胞、④両ポリマーで染色されない角層細胞の4分類にわけることができた。これらの結果から、蛍光標識PLLによる角層染色は皮膚生理指標と相関し、被験者の皮膚性状を予想することができると考えられる。また蛍光標識PLLと蛍光標識aDexの角層染色メカニズムを今後解明することができれば、高度な機器を用いることなく角層染色の結果から肌状態の評価が可能となり、皮膚の多様性に関する基礎データの収集のみならず、カウンセリング場面などでの応用など、社会的な貢献が期待される。 【参考文献】 [1] Hirao T. Structure and function of skin from a cosmetic aspect. In:Sakamoto K et al., editors. Cosmetic science and technology. Theoretical principles and applications. Amsterdam: Elsevier. (2017) 673-683. [2] Suzuki Y, Koyama J, Moro O, Horii I, Kikuchi K, Tanida T, Tagami H. The Mechanism of Desquamation in the Stratum Corneum and Its Relevance to Skin Care. J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn. (1999) 33(1):16-26. [3] Kashibuchi N, Muramatsu Y. Exfoliative Cytology for Morphological Evaluation of Skin. J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn . (1989) 23 (1):55 -57. [4] Imokawa G. Structure and Funtion of Intercellular Lipids in the Stratum Corneum. Journal of Japan Oil Chemist's Society. (1995) 44(10):751-766. [5] Imokawa G, Kuno H, Kawai M. Stratum corneum lipids serve as a bound-water modulator. J Invest Dermatol. (1991) 96(6):845-851. [6] Kim Y, Lim KM. Skin barrier dysfunction and filaggrin. Arch Pharm Res.(2021) 44(1):36-48. [7] Møss J. The effect of 3 moisturisers on skin surface hydration: Electrical conductance (Skicon 200), capacitance (Corneometer CM420), and transepidermal water loss (TEWL). Skin Res Technol. (1996) 2(1):32-36. [8] Kudo S, Nakashima S. Water adsorption with relative humidity changes for keratin and collagen as studied by infrared (IR) micro-spectroscopy. Skin Res Technol . (2019) 25(3):258-269. [9] Takahashi M. Non invasive Methods for Efficacy Test of Cosmetic Products by Examining the Skin Physiological Conditions. J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn. (2017) 51(2):105-116. [10] Kashibuchi N, Improved Exfoliative Cytology for Morphological Evaluation of Skin. J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn (1989) 23(2) 143-154. [11]Kashibuchi N, Ota N, Miyazawa M, Fujiwara N, Kishita A, Hirai Y. The Relationship between Sensitive Skin and Stratum Corneum Morphology. J. Soc. Cosmet. Chem. Japan. (1999) 33(3) 290-296. [12] Kobayashi Y, Iwai I, Akutsu N, Hirao T. Increased carbonyl protein levels in the stratum corneum of the face during winter. Int. J. Cosmet. Sci. (2008) 30(1):35-40. [13] Iwai I, Shimadzu K, Kobayashi Y, Hirao T, Etou T. Increased carbonyl protein level in the stratum corneum of inflammatory skin disorders: Anon-invasive approach. J. Dermatol. (2010) 37(8):693-698. [14] Ogawa H, Taneda A, Kanaoka Y, Sekine T. The histochemical distribution of protein bound sulfhydryl groups in human epidermis by the new staining method. J. Histochem. Cytochem. (1979) 27(5):942-946. |
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言語 | ja | |||||
書誌情報 |
p. 1-47, 発行日 2024-03-20 |
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学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 乙第107号 | |||||
学位名 | ||||||
言語 | ja | |||||
学位名 | 博士(薬科学) | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2024-03-20 | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関識別子Scheme | kakenhi | |||||
学位授与機関識別子 | 34517 | |||||
言語 | ja | |||||
学位授与機関名 | 武庫川女子大学 |