@article{oai:mukogawa.repo.nii.ac.jp:00000769, author = {黒田, 智子 and KURODA, Tomoko}, issue = {3}, journal = {生活環境学研究}, month = {Oct}, note = {和歌(以下「歌」と表記)によって,人はひとつの情景を想い起こし,その中に浸ることができる。僅か31文字が,確かな空間性を実感させるのだ。そんな歌を詠むに際して守るべき条件は,上の句の5,7,5と,下の句の7,7の字数のみである。空間性の表現形式としては,最小限の部類だろう。 小倉百人一首 (13世紀前半)の撰者で知られる藤原定家 (1162-1241)は,歌聖といわれ,詠歌についての言説が,後世において度々引用された。また,歌だけでなく,中世以降の連歌,能楽,茶道,書道など日本の伝統文化に大きな影響を与えた。特に,『毎月抄1)』(1219)は,歌を成立させる必須の条件を詠み手の心の在り方に求めた,日本文学史上初めての歌論である2)。定家は,その中で歌を10の類型に分類している。そして,最も基本の躰を有心躰と名付け,歌の本質を論じている。同じく定家による歌論『近代秀歌』(1221頃),『詠歌大概』(1222頃)とともに見ていきたい。最初,『毎月抄』は,筆に任せて書かれ,全体に理路整然としていないように感じた。例えば,有心躰の特徴は,それを含む基本の4躰の説明では,素直・優美のみであるのに,10躰すべてを説明した後には,味わい深さを加えている。それは,定家が,歌人であって理論家ではないからだと考えていた。定家には,毎月詠んだ100首を送ってきて指導を受ける身分の高い相手がいた。『毎月抄』は,評価を終えて100首を送り返す時に,それに添えた文章とされる3)。そこで,そのような師弟関係を想定して読むと,まず,定家が,相手の詠歌の素直さを大いに認めていることに気がつく。次に,基本とする4躰の説明において,優美への興味関心を呼び起こし,最後に,深い味わいに注目させている。相手の立場に立って,相手が定家のアドバイスを受け入れ易く,理解し易いような説明の順序を採った創作論なの だ。定家の態度は,現代の我々が考える論理性とは別次元において,精緻で,しかも温かく,優しい。}, pages = {22--27}, title = {詠歌における心 ―「有心躰」によせて―}, year = {2015}, yomi = {クロダ, トモコ} }