@phdthesis{oai:mukogawa.repo.nii.ac.jp:00002522, author = {山本, 孝治 and YAMAMOTO, Koji}, month = {Mar}, note = {【目的】クローン病は成人前期で発症することが多く、根治療法のない指定難病であり、患者は生涯にわたり療養が必要で、そのためのセルフケアを構築することが重要になる。診断後間もない成人期にある患者はセルフケアが安定しておらず、看護師は的確なアセスメントを実施し支援につなぐ必要がある。本研究は、診断後間もない成人期クローン病患者のセルフケアを構築するための看護アセスメントツールを開発することを目的に、Orem(2001/2005,pp.128-148)のセルフケア不足理論を研究枠組みとして、3段階のプロセスで研究を実施した。第1段階は、クローン病患者のセルフケア構築に向けた支援に必要となる看護アセスメントの視点を明らかにすることを目的とした。第2段階は、文献検討および第1段階の研究結果をもとに看護アセスメントツール(第1版)を作成することを目的とした。第3段階は、診断後間もない成人期クローン病患者に特化し、患者の主体的なセルフケア構築を支援する際の看護アセスメントツールの項目の妥当性と実用性について検証することを目的とした。 【方法】第1段階では、クローン病患者の看護実践経験を5年以上有する看護師12名に半構成的面接法による個別インタビューを1回実施し、質的帰納的にデータを分析した。第2段階では、文献検討および第1段階の結果をもとに、診断後間もない成人期クローン病患者に特化した看護アセスメントツール案を作成し、クローン病患者の看護に関する学術論文を2編以上発表している看護学研究者の助言を受けて内容を洗練させた。第3段階では、クローン病専門医が所属する全国213施設に研究協力を依頼し、クローン病患者への看護実践経験のある看護師466名に質問紙を配布してデルファイ法による調査を行い、看護アセスメント66項目から成るツール案について妥当性と実用性を検証した。デルファイ法による調査は2回実施し、同意率は80%に設定した。 【結果】第1段階のインタビュー調査の結果、クローン病患者のセルフケア構築に向けた支援に必要となる看護アセスメントの視点として、[自分の病気・治療・社会資源についての関心と理解]、[病気の受け止めとセルフケアの目標]、[ライフスタイル・ライフイベントに合わせたセルフケアの実践]、[病状に応じたセルフケアの実践]、[ストレスの認知と対処]、[周囲からのサポート]の6つを抽出した。  第2段階では看護学研究者4名の助言をふまえ、看護アセスメントツール(第1版)として、病識・健康管理、食事・栄養、排泄に関する12分類、66項目を確定した。  第3段階のデルファイ法による調査では41施設の協力が得られ、第1回調査は146名(回収率31.9%)、第2回調査は94名(回収率64.3%)の回答が得られた。第2回調査の結果、[自分の病気・治療・社会資源についての関心と理解]は≪自分の病気や治療への関心≫、≪自分の病気や治療についての理解≫、≪利用できる社会資源の把握≫の3分類で12項目、[病気の受け止めとセルフケアの目標]は≪病気の受け止め≫、≪健康に対する価値≫、≪患者の望みや目標≫の3分類で9項目、[ライフスタイル・ライフイベントに合わせたセルフケアの実践]は≪自主的な療養の実践≫、≪ライフスタイル・ライフイベントに合わせたセルフケアの調整≫、≪無理なく継続できるセルフケア≫の3分類で9項目、[病状に応じたセルフケアの実践]は≪悪化する前兆の察知≫、≪病状に応じた食事とトイレの調整≫、≪肛門部の清潔保持≫、≪肛門科の定期受診≫、≪適切な受診判断≫の5分類で18項目、[ストレスの認知と対処]は≪ストレスの認知≫、≪ストレスへの対処≫の2分類で4項目、[周囲からのサポート]は≪困った時の相談相手/同病者との繋がり≫、≪家族のサポート≫の2分類で4項目、計56項目すべてにおいて妥当性が88%以上、実用性は85%以上の同意率が得られ、看護アセスメントツールを確定した。 【考察】開発したアセスメントツールには、患者がありたい姿の実現に向け、病気や治療、社会資源をどのように理解しているのか、病状に応じて、またライフスタイル・ライフイベントに合わせてどのようにセルフケアを実践しているのか、周囲からどのようなサポートを得ているのかの視点が含まれており、患者の主体的なセルフケア構築を支援する際のアセスメント項目として妥当性と実用性が確認された。開発した看護アセスメントツールはクローン病患者のセルフケア、セルフケア能力、治療的セルフケア・デマンドの関係をとらえるための包括的な視点、分類および項目が明記されているため、本ツールを活用することで、看護師は患者が描くありたい姿の実現に向けてセルフケアが遂行されているか、その状況をアセスメントして長期的な観点でのセルフケア支援が可能となると考える。}, school = {武庫川女子大学}, title = {診断後間もない成人期クローン病患者のセルフケアを構築する看護アセスメントツールの開発}, year = {2023}, yomi = {ヤマモト, コウジ} }